MODERN TIMES / Neat's

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アルバム買ったぞー。

 

ファーストアルバムはなんだか表現の衝動に技術が追いついてない感が少しあったけど。全体的にイメージしている音像を忠実に再現出来てる感があって良い感じ。

 

まだあまり聴きこめてないけど表題曲。ちょっとビックリした。

 

洋楽はリズムとかアレンジ重視。いかに尖った、新しい音像を作るかに進化してるイメージ、それに対して邦楽は転調の気持ちよさを追求する方向で進化してる感じがしてるんだけど(アニソンが特に顕著)。この曲はそういった転調の気持ちよさを追求した邦楽の進化系。それプラス純UKっぽさを合わせた感じで超絶気持ちいい。

 

特にイントロのギターのフレーズがいいなー。チョーキングとかグリッドとか所謂ギターっぽい奏法を極力廃しつつもギターのもつ魅力を存分に発揮したフレーズというか。(浮遊感というか色っぽさというか。あとこのフレーズ基本シンプルな単音で弾かれてるんだけど最後の方の和音が死ぬほどかっこいい。)これがピアノとかグロッケンとか他の楽器だったら全く別の印象があるんじゃないかな。なんかUKっぽい。具体的に誰っぽいかは忘れた。

 

でもおそらくNeat’sさんはその辺の曲をやっぱり同様に魅力的に感じて、この曲の胸キュン成分はなんだろう…って分析して。チョーキングとかグリッドを極力廃したギターとかそこに合わせるシンプルで手数の少ないドラムとかいろいろ分析してモダンタイムスで再構成させたのかな。参加ミュージシャンのアイデアの可能性もあるけど…。

 

直感で生きてるようで、すごく頭を使って分析する研究家のイメージ。

というか基本直感で生きているけど、そのあとその直感をきちんと分析できる人。

「なんで自分はこれをいいと思ったんだろう。」

「これを再現するにはどういった方法を取ればいいんだろう。」

っていうふうに理屈で考えることが出来る人。

それで、そのまま理詰めで考えて迷路に迷い込むんじゃなくて初期衝動の直感をきちんと頭の中に保存してキープ出来る人。

 

なかなか居ないなー。

 

点と点を繋げて創りあげるNeat’s オリジナルこれからも楽しみにしたいなー。

 

「一人シング・ア・ソング 探してる愛のうた」のあたりきゅんきゅんくる。

 

アイディ。

 

坂本真綾さんの6年ほど前に出版されたエッセイ「アイディ。」が文庫本版として再び出版されたので買ってみた。



表紙のデザインから帯に至るまで隅々までこだわりを持って作られている感じ。
その上、本を開いてみるとハードカバーの本には結構付いてる、
文庫本にはたまに付いている紐タイプの栞があると思うんだけど、それがちょっと凝っている。
プレゼントの紐で使うような平たくてちょっと固めな上質な紐、色はマリンブルーと言ったらいいのか、
時がたっても味わい深い風化の仕方をしそうな落ち着いた蒼。

それに星海社のかわいい星マークと可愛い英字フォントで白く「S E I K A I S H A」と書かれている。


かなり可愛い。


いや正直ちょっとクセが付きやすいし、ページに挟みづらいんだけど、その扱いづらさを補って余りあるほどのかわゆさ。

文庫本ってハードカバーの本に比べたらコンビニビニール傘的、というかどこか使い捨て感のある装丁だったりするけれど、
この文庫本版「アイディ。」はいつまでも丁寧に大切に手元に置いておきたい
そんな気持ちにさせるような作り手の愛情あふれる装丁だった。

ていうか右上にちっこく添えてある「星海社文庫」っていうロゴからしてすでに反則レベルでかわいいよなぁ。
なんていうフォントなんだろう。



そして、中身、エッセイはまだ読み終わってないんだけれど

すごく丁寧に日本語を扱う方だなぁと思った。
決して難しい言葉は使わずに口語に近い平易な言葉を選んでいるんだけど
核心はしっかり捉えていて、リズミカルに、イージーリスニングのようにスッと心のなかに入り込んでいくような文章。
そして何より飾らずに自然体。

坂本真綾さんはラジオのパーソナリティをされていて、僕もよく番組を聴いている。
その中でリスナーからのメールを読んだりするんだけど、
いくら一人の人間、坂本真綾さんを好きで集まったリスナーさんたちといえど、人間十人十色

文章を書くのが上手な人、文章を書く中でどうしても余計な自我が出てしまってまとまりのない文章になってしまう人(僕のことです)、

いろいろな人がいる筈なのに、なぜか坂本真綾さんの声で、坂本真綾フィルターを通して文章が読み上げられると
洗練されていて、知性を感じさせるんだけど、どこまでも暖かくて柔らかい、そんな文章になる。



とても「うける~」(ただし目は笑っていない)が口癖の人が書いた文章とは思えない。




  「遠くまで来たけれど、いつか見た地平線で感じたように、すべてはつながっている。

    たとえ何があっても、いつでも灯台のように、帰る場所を照らしてくれる。

     寂しいと思う必要はない。

      自分が思うように、一歩一歩進むしかない。」




そして、今年2冊目のエッセイが発売された。

タイトルは「from everywhere」。

「アイディ。」から6年後。一歩一歩進んだ真綾さんが from everywhere から送るエッセイ。

楽しみ。

 

アイディ。 (星海社文庫)

アイディ。 (星海社文庫)